S-2-8 「市民活動とICTの利活用~地域SNSの可能性」
司会進行とコーディネーターを勤めたのはイベント創造プラットホーム運営委員会事務局の森由香氏。 パネリストにmixiのコミュニティ「I love Yokohama」代表の佐藤勇氏、横浜市市民活動支援センターの高城芳之氏、㈶横浜開港150周年協会市民参加ディレクターの吉澤卓氏の三氏を迎えたほか、地域SNS「ハマっち!」運営委員・ヨコハマ経済新聞編集長の杉浦裕樹氏も特別参加し、それぞれの活動状況と現状、これからの地域SNSの可能性について語り合いました。第2回地域SNS全国フォーラム in 横浜 2008.2.28~29 開催
==== セッション基本情報 ================================
日時:2月29日(金)16時00分~18時00分(120分間)
会場:なか区民活動センター ミーティングエリア
コーディネーター:
イベント創造プラットホーム運営委員会事務局 森 由香 氏
パネリスト:
横浜市市民活動支援センター 高城 芳之 氏
mixi I love yokohama代表 佐藤 勇 氏
(財)横浜開港150周年協会 市民参加ディレクター 吉澤 卓 氏
======================================================
■ICTを活用した市民活動事例
まず杉浦氏よりこれまでのSNSの流れ(2004年mixi誕生から地域で次々に生まれるSNSの時代に至る状況)と2007年3月に試験運営をスタートした「ハマっち!」の現況について簡単な説明がありました。 「ハマっち!」は外部公開も可能なOpenSNPというシステムと、行政との共同ランが特徴。 グループウェアの機能を活かして市民活動のサポートをめざし、今後も積極的に展開していく方針が確認されました。
> 横浜地域SNS「ハマっち!」 http://sns.yokohama150.jp/
◆参加者5万人を突破!mixiから始まった「I love Yokohama」
続いて三氏の自己紹介があり、最初のパネリストである佐藤氏が、代表を務める「I love Yokohama」の活動事例を紹介しました。 佐藤氏によればmixiの地域コミュニティで最大規模を誇る「I love Yokohama」の登録者は現在5万人超。 当然ハマラブにはさまざまなコミュニティが立てられていますが、ここで出会った人々による「清掃ボランティア活動」や「開港祭への市民活動グループとしての参加」が、ヴァーチャルからリアルな関係を生み出した新しい市民活動のカタチとして注目を集めているといいます。
通常ネットでコミュニティができると“オフ会やりましょう”という話になり、実際に顔を合わせて“楽しかったね”で終わる。 ただそれだけのことになりがちですが、I love Yokohamaでは2005年11月、一般市民の書き込みをきっかけに参加者を募って清掃ボランティアを開催。 すると当日、現場には子供からお年寄りまで大勢の方が集まり、清掃終了後もこのような結びつきと初対面の人同士で協力し合いながら地域に貢献できたことに参加者一同が感激し、継続して集まろうという話になったそうです。
2007年のクリスマスには参加者がサンタクロースに仮装し、「夢を配る」というコンセプトをたて、ごみを拾って持ってきた子供たちにプレゼントを用意するなどの企画も。 このクリーンアップイベントは現在回を重ねて13回も実施されているほか、昨年の開港祭には市民団体として初めて参加が認められ、ワークショップを開いたり、キャンドルナイトを開催したりするなど活動の幅も広がってきたということです。
> I Love Yokohama公式HP & はまらぶSNS http://hamalove.jp/
◆市民活動、ボランティアなどの活動を支援
続いて登場した高城さんは明治学院大学在学中、積極的にかかわった大学祭をきっかけに地域と若者をつなぐ活動に目覚めたという経歴を披露しました。 高城さんが務める横浜市市民活動支援センターは2000年に横浜市が設置した市民活動、ボランティア活動の拠点。 「新しい公共性」を担う市民活動の自立と協働をさまざまな側面から支援していますが、高城さんはここで主にIT関連の講習会やメルマガの発行、HPの作成など情報系の運営や取りまとめを担当しています。
現在、支援センターに登録している団体数は1243。 それらの団体を対象にワード、エクセル、HP、デジカメなどのIT講習会を月1回、ITサロンを月3回開催。 メルマガ「はまじゃん」も月3回発行し、HPのアクセスは月8000件という状況だそうです。 市民活動団体がITを利用した情報発信は増えてきているものの、まだまだ課題は多いだろうという認識を示しました。
> 横浜市 市民活動支援センター http://www.npo-c-city-yokohama.jp/
◆新しい市民力の創造
三番手の吉澤氏は万博史上初めてNGO、NPOが参加し、大成功を収めた2005年の「愛・地球博~地球市民村」のディレクター。 現在は開港150周年協会の市民参加ディレクターとして、2009年夏にズーラシアで開催される記念テーマイベント「ヒルサイド」の市民創発支援事業を手がけています。
現在、旭区若葉台で行われているヒルサイド出展者のための「創発プログラム」申し込みは300名余。 そのうち毎回参加している方々は約200名。「ハマっち!」にエントリーしているのは50名前後であり、今後は2009年に向けて地域SNSである「ハマっち!」を、市民創発事業を仕掛けていく基盤にしていきたいと語りました。
また、吉澤氏からは少しわかりにくい「創発」という言葉の紹介がありました。 創発とは「思いや気持ちのあるメンバーが」「ワークショップで互いに刺激を受けながら」「個々にやりたいことを展開していく」関係性のことで、個人が個人として出会い、互いに刺激を受け、理解した上でつながりを持ち、広がっていくようなイメージが提示されました。
> 横浜開港150周年記念テーマイベント ヒルサイド http://hill.yokohama150.jp/
> 横浜開港150周年はハマッ子が主役 新しい「市民力」の創造を目指す「市民創発」とは?(ヨコハマ経済新聞)
続いて杉浦氏より第二部のテーマである「ハマっち!」について、行政の関与のあり方や個人情報保護の問題、SNS間の連携などの課題とともに「まちを元気にする地域情報化のプラットホーム」として、あるいはまちで起きるさまざまな出来事を他人事ではなく「自分ゴト」とするために「ハマっち!」はいかに活用されるべきかなど、議論を進める上での具体的な課題が提議され第一部は終了しました。
■地域SNSの今後の可能性
◆SNSを利用する上での課題
吉澤氏は「情報の外部公開ができること、ファイルが共有できること」「それによって個人でも会社勤めの人と同じように情報共有できる場となる、グループウェアとしての機能を果たすことができる」という利点と、実名登録することで「行政側の人間がアクセスしにくい」という問題点を指摘しました。
また佐藤氏は「mixiを続けているのでフォーマットに慣れることができない」「mixiとハマっち!を二つ同時に続けることの難しさ」を語りました。 それぞれのSNSで自分のキャラクターを使い分ける時代が来るのかもしれないが、時間的には難しく、間違いなくこれからの課題となるだろうことがクローズアップされました。
高城氏は実名登録とプロフィルが充実しているので「どんな人かわかり、安心できるのがよい」反面「情報量が多すぎていろいろな情報をどのように整理するのか、どうやって活用していくのか」課題は多いと指摘。そこで「ハマっち!」運営に携わる森氏が使い方や機能など、初心者向けの講習会をはじめたことを紹介しました。
吉澤氏は今後について「地域SNSは“インターネット上の何か”ではなく“地域の何かであるべき”」と語り、「地域をキーワード」として「自分がSNSの担い手である」という人々を増やし「人が見える関係を維持すること」が重要だという認識を示しました。
佐藤氏もネットからリアルな関係が生み出された「I love Yokohama」が成功したのは「地道に小まめにレスポンスしたからではないか」と語り、「SNSをどう盛り上げていくか、管理人としての役割を考え、さまざまな人が参加しやすいようなコミュニティにしていくことが大切」であり、「たまにはオンとオフをつなげるイベントを発してみるのもいい」とアドバイスがありました。
また、高城氏も「メーリングリストだけだと単に受け手になってしまう」「参加者になるにはネットだけでは盛り上がらないので実際に顔を合わせることのできる拠点としての支援センターと連動できる工夫が必要」であり、支援センターがそういう場を提供できるよう今後もさまざまな企画を考えていくと意欲を語りました。
◆横浜とSNS、そして展望
最後は質疑応答。「ハマっち!」立ち上げに費用はいくらかかったかとの質問には杉浦氏から横浜市の補助事業として年間2000万円の予算が組まれ、イベント創造プラットホームが運営。設置費用に約80万円、管理運営費に月20万円、年間約240万円の予算でまかなっているとの説明がありました。
また横浜だから盛り上がっているのではないか、ほかの地域に置き換えたらどんなアドバイスがあるか、との質問には吉澤氏が「横浜市民は360万人で「ハマっち!」登録者は1000人程度だから規模から言えば必ずしも成功しているわけではない」と前置きしたあとで「横浜がいい感じに見えるのはいろいろな出来事があるからかもしれない」。
また杉浦氏からは「地域の人たちがどんどんつながりだして来た。 これからじわじわと広がっていく時期に差し掛かっている」との現状認識が示されました。 広域の地域SNSを運営しているという参加者からは地域に限定したSNSなら登録者が引っ越すとどうなるのかという質問があり、杉浦氏が「ハマっち!」は横浜に興味・関心のある方すべてに参加資格があるSNSだと回答しました。
最後は地域SNSの今後の可能性について。吉澤氏はプロジェクトマネジメントツールとして地域SNSを活用していけば非常に有益だと語り、佐藤氏は市民がネットで知り合って実際に顔を合わせ、ボランティア活動を始めたハマラブの活動自体が新しいことであることを強調。 今後はさらに企業とのコラボやスポーツイベントの共催なども視野に入れていきたいと豊富を語りました。最後に高城氏が「市民活動とSNSは非常に相性がいい。 こうしたヴァーチャルな場とリアルな場をどうつなげていくか。人と人とをつなげるために自分たちができることを地道にやっていきたい」と締めくくりセッションを終えました。
記事・文 ステラ + ハマっち!プレス編集部
March 6, 2008 - 管理人















