第2回地域SNS全国フォーラムレポート

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S-2-2 「mixiがあるのになぜローカル?~若者が動かす地域SNS」

 フォーラム2日目の午後、横浜開港記念会館では、若者視点から考えるセッションが行われた。

 NPO、自治体、商工会議所、民間企業…、各々が異なる背景の組織に所属する若手地域SNS運営者4名と、ネット文化や若者のコミュニケーションに関する研究で知られる気鋭の若手社会学者鈴木謙介さんを交えての議論。新世代が考える地域SNSの現在とその行く末とは。


第2回地域SNS全国フォーラム in 横浜 2008.2.28~29 開催

==== セッション基本情報 ================================

日時:2月29日(金) 13時30分~15時(90分間)
会場:横浜開港記念会館6号室

コーディネーター:
 横浜国立大学経営学部4年、NPO法人 横浜コミュ二ティデザイン・ラボ インターン 梅木 隆伸 氏

パネリスト:
 国際大学GLOCOM研究員 鈴木 謙介 氏

 滋賀県大津市政策調整部情報システム課 仁志出 彰子 氏

 西千葉コミュニティサイトあみっぴぃ運営・TRYWARP代表 虎岩 雅明 氏

 東京商工会議所 渋谷支部 関田 一行 氏

 (株)デザイニウム 代表取締役 前田 諭志 氏
======================================================





 ◆若者たちがその思いを込める個性豊かな地域SNS

■地域SNSで市と市民の距離を縮める
 :おおつSNS / 滋賀県大津市

 滋賀県大津市の地域SNS「おおつSNS」を運営する大津市役所の仁志出さんは、サイトを運営して一般ユーザーだけでなく、市職員の意識が変わったと冒頭の紹介で語った。
 職員それぞれが、役職が見えないニックネームを使いSNS内で交流することで、市民の活動をサイト上で知る。 そこからは役所で働くだけでは得られない性質のフィードバックがある。
 また、キャラクターの愛称をサイト内で募集するなど、アットホームな雰囲気で、ユーザーと運営側の距離を感じさせない工夫を行っているという。

> 滋賀県大津市:おおつSNS http://www.sns.city.otsu.shiga.jp/


■若者が年長者に合わせる
 
:あみっぴぃ / 千葉県西千葉 
 
 西千葉で、千葉大学の学生が地元の年配層向けにパソコンの使い方を教えるパソコン教室事業などを行うNPO法人トライワープ。 代表の虎岩さんは、事業着手の背景にある「世代間交流」の延長線上で地域SNSをはじめたと語る。
 そのため、ユーザビリティも年配層、PC初心者向けに徹底的にカスタマイズした。 運営指針としても「若者が上の世代に合わせる」という考え方を一貫して持っているという点がユニークだ。

> 千葉県西千葉地域:あみっぴぃ http://amippy.jp/


■クリエイティブと企業をつなぐ多層の仕組み
 :XSHIBUYA / 東京都渋谷区
 
 広域渋谷圏のクリエイティブ産業とIT産業振興のため、東京商工会議所渋谷支部が立ち上げたXSHIBUYAでは、その数60を超えるオフ会(ネットではなく、実際に集まって行う会合のこと)の開催実績があり、リアルの繋がりが活発だ。
 多様なライフスタイルに応えるかたちでオンオフの関係をつなぐ試みとして、商工会議所だけでなく、様々な主体が関わってそのマネージメントを行っていると関田氏は語る。
 商工会議所には8万の会員ネットワークが存在する。 渋谷から全国へ、中小企業の人とクリエイティブをつないでいくことも考えているという。

> 東京都渋谷区:XSHIBUYA http://sns.xshibuya.jp/


■会津の魂を遺していく挑戦
 :会津sicon / 福島県会津若松市

 会津の人間の気質である「頑固」な魂をつなぎ、同志が集うようなネットワークがつくれれば面白そうだとはじめた福島県会津若松市の地域SNS「sicon」。 SNSのコンセプトを明確にすることで、そこで何をするのかがユーザーにとっても明確になると前田氏は述べる。
 今や地域SNSでユーザー数を伸ばすことには意味がない。 siconをmixiの会津コミュのコピーにはしたくない。 こういった思いから独自路線を模索する。 まずはコンセプト。 そして「繋がっていない人」をつなげていくこと。 そこから会津という地域に何が遺せるのか何ができるのかということを考えていきたい、と意欲を語った。

> 福島県会津若松市:会津sicon http://sicon.jp/



◆コミュニケーション手段を臨機応変に使い分ける若者のリアル

 後半は前半の各地域SNSの紹介を受け、議論が行われた。
 「1、2年前、今回のように地域SNSを語るときの反応は、「mixiのローカルコミュニティでいいじゃん」というものが大半だったと記憶しているが、今回各運営者の話を聞くとどうも違うようだ。」と、後半冒頭で鈴木氏は述べ、話は各運営者の「リアル」に及ぶ。

鈴木:     「mixiと同じことをやっても仕方がない、ということを考えたときに、2つの時空があると思います。 一つは、「参加者を限定するのか限定しないのか」という時空、もう一つは、「SNSの目的を特化しているのか特化していないのか」という時空です。
 この限定-非限定、特化-非特化のマトリクスの中に各SNSが収まる形で、それぞれがどういうアウトプットを出す場として機能するのかという話になってくる。それがまさに前田さんが仰った「コンセプト」。」

 一時の熱が冷め、SNSがコミュニケーションによる目的を達成する多様な選択肢のうちの一つになってきた。 これからの若者たちは、そういったコミュニケーションツールの沢山持った状態で地域SNSを選択する状況になる。


鈴木:     「メールやmixiを既に利用している中で、地域SNSはどういう位置づけ、使い分けをしていくのか、という個人的な感覚を各々に訊きたいと思います。いかがでしょうか?」

関田:     「地域SNS運営の仕事をしていると、沢山のSNSに入ることになります。 また、当然メールも使う。 沢山のサービスを利用する際に、プライベートと会社員、地元と会社といった使い分けの基準ができている気がします」

虎岩:「パソコンメールは仕事、ケータイメールは近しい人、mixiはしばらく会わない人、そして地域SNSは地元のおじちゃんおばちゃん、そしてそういった年配の方々との交流関連で若い人たちとも(地域SNSで)コミュニケーションをします。」

鈴木:     「人間関係で使い分けている?」

虎岩:     「結果的にそうなってますね。自然とそうなるというか。」

仁志出:「私も人間関係で使い分けていますね。地元が大分なので、mixiは主に地元の友達との交流、今の地元(滋賀県)の交流は地域SNS。 書く日記など、発信する内容も人間関係によって変えています」

前田:     「最近mixiは、「見てはいるがあまり積極的に更新しない」という状況です。 mixiは全方位を対象としていて、例えば地元の友達も入っているし、東京の取引先の人も入っている、という中で下手なことを書けないという感覚をもっています。
 先ほども言ったとおり、(SNSの)コンセプトがはっきりしていれば、今日の日記を書く場所はどこかな、とユーザーが考えたときに選んでもらうことができると考えています。」


 
◆流動的な「ジモト」意識を自由に泳ぐ。 その感覚から発想する地域SNSの運営

鈴木:     「今聴いていて、地元の定義がそれぞれ違うのが面白いなあと。 少し難しい言葉を使いますが、若い人が「地元」と言うとき、それが「流動的である」ことが前提になってます。 つまりそれが出身地だったり、今住んでいるところだったり様々に変わりうるということです。
 少し前までは違ったんですが、僕らにしてみれば当たり前の感覚です。 そして皆さんはそういう(流動的な)関係性をマネージするツールとしてSNSなどを当たり前のように利用している、という印象を持ちました。」

前田:     「複数の帰属意識があります。 それが使い分けられるようにある程度特化をしたほうがユーザーとしても運営者としてもやりやすい。」

鈴木:「その感覚を確認した上で、では地元に愛着のある人に(数あるコミュニケーションツールの中で)地域SNSを一番使って欲しいのか、あるいは、そういう道具もあるよね、というくらいの感覚で使って欲しいのか、あるいは全然違うものなのか、といったあたりを訊きたいと思います。」

虎岩:     「(ツールとして)便利であることっていうのはあまり重要ではありません。 むしろ不便でも使いたいと思う気持ちが大切です。 不便でも使いたいところが沢山ある人、というのは幸せな人。 不便でもそこに帰りたい地元がいくつもあるという状態(をつくること)は現代的に有効なのかなと思います。

仁志出:  「客観的に今住んでいるところを見れる、という人はよそ者かなと思っています。 九州出身の私が(客観的に)見て、なぜ琵琶湖があるのに京都を見るのかな、というちょっとした疑問から、地域SNSを使ってその状況を変えてみたいと考えています。
 また、SNSは時間も結ぶことができます。 お年寄りも若者もフラットな繋がりが可能になるようにSNSを使っていければと思っています。」

前田:     「地域SNSがすごく面白いと思うのは、「会おうと思えばすぐ会える」というところです。 会っていないときでも繋がっていられる。 しばらく会わなくても、日記などを見ていてその人の考えていることがわかる。 同じ地域なので「そういえばこの前日記でここをおすすめしていたな」と思い出すような繋がり。 そういう使い方をしてもらえるとうれしいですね。」

関田:     「プライベートの友人同士の付き合いはmixi等、会社の付き合いはリアルとしたとき、XSHIBUYAの場合はその中間のようなイメージです。 同じ仕事をしているけど違うところに住んでいる、会ったことはないけれど同じようなことにチャレンジしている、そういった人の繋がりを生む場所。
 普段の日記も書くけれど、例えばデザインなどでこういうことを考えている、と発信してそこから緩く繋がっていくような流れが繰り返されて「友達」と「会社」の間にある層を拾って活動をしていくような方が多いのかなと思っています。」

鈴木:     「関田さんのお話を伺って思い出しましたが、大阪に「FM802」というFM局があります。そこが地元美大出身のデザイナーを囲うサイトでマネジメント業のようなことをやっていて、地元の銀行の通帳デザインに起用してもらったりしている。 こういう動きなどはあるのでしょうか?」

関田:     「そこまでマネージメントができているわけではありませんが、今二つ考えていることがあります。 一つは学生さんなど若いクリエイターを地域に出していこうということ。 それから、作品は知っているがどういう人がつくっているかわからないというものが渋谷には沢山ある。 そういう人たちと若い人をつなげる。
 クリエイターでは食べていけないと言う人がすごく多いんですが、クリエイターでも食べていけるんだという人を渋谷に増やしていきたいと思います。」


◆「地域SNS」ではない地域SNSの可能性

鈴木:     「色々なお話を聴きました。 そこで地域SNSっていう言葉やめません?っていうことを実は半分思ってます。括りが大きすぎる。地域活性化を目的としたSNSは勿論あって良いと思うけれど、「地域SNS」が全てそれである必要は全くない。
 ある地区なり、自治体なりに「嵌(はま)る」ツールとして、SNS「も」あるよね、という状況になってきたことはすごくいいことです。 地域活性化のためのツールとして限定して捉えているだけでは豊かな実りが出てこない気がしています。」

梅木:     「今回のセッションの到達目標である「地域SNSのコンセプトを更新する」ということに繋がりますが、「地域SNS」という言葉の持つ呪縛から一度距離をおく。 そこから見えるものは必ずしもmixiのようなものでないかもしれない、掲示板のようなもっとシンプルなものかもしれないし全然別のものかもしれない。 特に僕ら世代、あるいはもっと下の世代の、ケータイなどのモバイル端末をベースにしたコミュニケーションに呼応していく。」

鈴木:     「そのときに僕が確認したかったのは、「地元」といっても、コンビニのように全国どこにでもあるものを消費して生活していることが大半です。 それを切り捨てないと地元に還元できないとか貢献できないという考えがすごく嫌で、そういうコンビニ的リアリティを生きている人が、それでも地元に貢献したいなとか地元で何かしたいなと思うのだとしたらそれはすごくいいことですし、そういう思いをうまくつかっていきましょうということでいいと感じています。
 今回若い人たちが、多様なコミュニケーションツールが存在する状況でも特に関係なく、「まあそういうのもあるのでやってます」という感覚で話ができたのが、「地域SNS」という広い(大括りな)テーマを考える上でよかったかなと思います。」


 連携や技術、そして他のSNSの存在にあまり拘泥せず、ある意味で保守的とさえも言える各運営者の地の足のついた現状認識から測定される地域SNSの将来。
 それは、多様なコミュニケーション手段の選択肢を気負わずに選び分けつつも、絶えずその運営者として、個人の思いとしての目的は何なのかを自省する真摯な姿勢から描かれると感じさせるセッションだった。


記事・文 うめ + ハマっち!プレス編集部


March 8, 2008 - 管理人

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