第2回地域SNS全国フォーラムレポート

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S-1-3 「3大SNS基盤提供者が語る地域SNS」

◆オープンソースSNSエンジンの生みの親三巨頭が集結!
 SNSを立ち上げるためには当然サイトの構築をまず行わなければならない。 掲示板やメールなど、複数のコミュニケーション機能が組み合わさったSNSを一から作り上げるのはそれ相応の作業工数がかかる。
 そこで、SNSのプログラムをパッケージ化し、誰でも利用できるようにした事業者、開発者が注目を集めている。 今や多くの地域SNSがこのようなSNSエンジンを活用しており、デザインなどのカスタマイズを行いつつ稼動している。
 そのキーマン三人が、地域SNSにおける基盤エンジンの今とこれからを語った。


第2回地域SNS全国フォーラム in 横浜 2008.2.28~29 開催

==== セッション基本情報 ================================

日時:2月28日(木)15時45分~17時00分(75分間)
会場:パシフィコ横浜 会議センター5階小ホール

コーディネーター:
 国際大学GLOCOM 研究員 庄司 昌彦 氏

パネリスト:
 OpenPNE
 (株)手嶋屋 代表取締役 手嶋 守 氏

 OpenSNP
 インフォミーム(株) 代表取締役 和崎 宏 氏

 open-gorotto
 八代市 企画振興部 情報推進課情報推進係 主任 小林 隆生 氏
======================================================


■目指すは150,000SNS!
 ~OpenPNE手嶋氏が語るSNSの拡大とその成否のポイント



 
 利用者が30,000を超える国内最大のオープンソースSNSエンジンOpenPNE。
 「SNSはコミュニケーションインフラになる」との予測から、mixiなどを「マス型SNS」と区別した上で、それ以外のSNSをできるだけ安価に、できるだけ多くのユーザーに構築してもらうため、OpenPNEをオープンソース化したと語る手嶋氏。 2010年4月までには、150,000SNS、15,000,000IDを目標に掲げる。

 インフラとして着々とユーザーを伸ばす中で、SNSを成功させるための3つの要素が、「利用者によろこんでもらうことための運営、使い勝手や汎用性を決めるソースコード、そして継続して開発していくビジネスモデル」だという。「手嶋屋としてはエンジン(ソースコード)を開発しているが、運営やビジネスモデルの部分も併せて考えることで、2010年の目標を達成したい」と熱い思いを語った。


> OpenPNE : http://www.openpne.jp/
> 株式会社手嶋屋 : http://www.tejimaya.com/



■地域SNSは井戸端会議
 ~OpenSNP和崎氏が目指す、町を元気にする地域のコミュニケーションとは

 地域も捨てたもんじゃない。 本業の傍ら、有志によるボランティアでネットワークケーブルを小学校に敷設する活動(ネットデイ)を行う中で、地域住民のパワーを知った和崎氏。 その住民同士の繋がりを可視化したいという思いがあった。 それを実現する手段を模索していたときに出会ったのがSNSだったという。

 SNSを使えば「地域で元気な人がどんどん繋がる」と直感し、「世界の人間は6人を介して繋がっている"スモールワールド"ならば、地域は3人くらいで繋がっているんじゃないか。」そこで生まれる「地域力」を予感した。

 当初OpenPNEやOpen-Gorottoを検討したが、従来から事業として展開していたコミュニケーションツールをベースに独自で開発に踏み切った。 そして誕生したのがSNSエンジン「OpenSNP」と、「地元兵庫を元気にする」地域SNS「ひょこむ」だ。
「普段の何気ないコミュニケーション=井戸端会議をやっていると、本当に必要なときにツーカーでコミュニケーションができる」。
人と人の繋がりをみつめ、地域SNSで行われるコミュニケーションを"井戸端会議"と称するなど、独特の人間味溢れる思想がOpneSNPに注がれている。


> ネットデイ : http://www.netday.gr.jp/
> インフォミーム株式会社 : http://www.memenet.jp/
> ひょこむ : http://hyocom.jp/



■大切なのは住民同士が楽しむこと
 ~八代市のスーパー市役所員小林氏が語るOpenGorottoの開発思想


 
 「八代地域を元気にしよう!」。 いち市職員である小林氏の奮起から始まったコミュニケーションツールの開発だったが、一般的なグループウェアだった当初、利用が伸び悩んでいた。 そこでやはり当時目をつけたのがSNSだったという。

 プログラムをオープンソース化し、バージョンアップを重ねながら開発をしつつ他地域に配るようになる一方で、「地元の「ごろっとやっちろ」は未だにバージョン1なんですが」と苦笑する。 というのも「ごろっとやっちろ」及びそのオープンソース派生版である「Open-Gorotto」の開発を小林氏一人でおこなっているというから驚きだ。

 現行バージョンは各機能をモジュール化し、利用地域ごとにカスタマイズできるようにした結果、(SNS的な機能もモジュールとして提供されるという意味で)「SNSエンジンですらなくなった」と小林氏は語る。

 「住民同士が楽しむこと。そして他の地域の住民とも交流ができること」を目指し、様々な仕組みを「ドキュメントが頭の中しかないのが悩み。 開発スピードも遅い。」 と言いながらも意欲を見せる姿に会場からは感嘆の声が漏れた。


> Open-Gorotto : http://open-gorotto.jp/
> ごろっとやっちろ : http://www.gorotto.com/



■連携の可能性と地域SNSの個性

後半はコーディネーターのフォーラム実行委員長庄司氏の質問から、各々が考える展望へと議論が及んだ。

庄司:     「どのようなSNS間連携が地域SNSに必要かということをまずお訊きしたいと思います。 手嶋さんはOpenPNE公開当初、連携には興味がないと仰っていたと記憶しているんですが?」

手嶋:     「興味がないわけではないんです。 でも、そもそもmixiやgreeがある中で、自分たちのSNSをつくりたいという最初の動機付けはなんだったかと考えてみたい。 それは「離れたい」「独立したい」という思いだったと思う。 それらを今一度中途半端に繋げたとしても、結局mixiのようなものがあるだけではないでしょうか。 SNSごとのアイデンティティは上手に作っていく必要があると思うけれども、それができるまでは、連携はしないほうがよいのではないかと思います。」

和崎:     「将来的には、一つの地域に居て、一つの地域SNSに入っていれば十分、ということにはならないのではないでしょうか。 様々な興味関心があって、それぞれに特化した地域SNSに複数参加していくようになる。 そういった流れの中で多様なレイヤーを貫く「地域SNS間連携」を考えていきたいですね。」

小林:     「開発当初から地域SNS間連携の考えはありました。 それは、地元だけでなく、他の地域にも盛り上がりをおすそ分けしたいということが一つ。 もう一つは、地域SNSは防災でも役に立つだろうという狙いがありました。市からの情報よりも早く災害情報発信ができうると感じたのです。 例えば被災地でサービスがストップしたとき、周辺地域(のSNSにおける情報交換)が補完することで、仮想的に「落ちない」サービスを提供することが可能だろうと思います。」


庄司:     「今後の展望についてはいかがでしょう?」

小林:     「他のSNSを利用するときも自分のSNSの使用感を保ったまま利用できればよいと考えました。 そこで、TCP/IP常時接続環境を実現するOGDP(Open-Gorotto Discavary Protocol)という独自プロトコルを定義し、これによって、メールや日記などの転送、どこのSNSが落ちているかなどのデータをやり取りすることができるようになります。
 さらに、リアルタイム接続が実現できることで、ログインなど煩雑な作業をスキップすることもできます。 実際にデスクトップアプリケーションもつくり、サイト内でのリアルタイム地域情報をポップアップしたり、インスタントメッセンジャー機能によってお互いにコミュニケーションすることができます」
 ※実際に八代市役所との動画/テキスト通信を行うデモなどを行った

小林:     「他の地域を盛り上げる前に自分の地域を盛り上げるのが先決ですから、ごろっとやっちろ向けにこういった仕組みを色々と開発しています。 楽しい機能を提供して自分の地域が爆発的に盛り上がったときに、他の地域と連携をする、という流れが本来の筋だと思っています。」



 
 
■地域産業と地域SNS。ソーシャル系基盤への対応

会場:     「ポータル(入り口画面)に対する考え方と、エンジンの開発技術を地域産業として育成していくという考え方について意見をききたい。」

手嶋:     「SNSは本質的に組織表現ツールだと考えています。 ポータルなどを展開して外に向けて情報発信するには、よりそれに特化したツールが既に多く存在します。 OpnePNEとしてはよりスリムに、「組織を表現する」という考え方の元で開発しつつ、今後OpenSocialやOpenIDなどの規格に対応をすることで(外向けの情報発信に関しては)補完をしていきます。」

和崎:     「(特定の)地域に限定して腕の立つ技術者というのはやはり中々見えてこないのが現状です。 でも私は腕だけでなく志が欲しい。 一方、オープンソースで(開発を)やりましょうと呼びかけると、全国の熱い技術者から声がかかってくるんですね。 これがたまらない。 ですので「ソフトウェア産業を地元で」みたいな話はあまり深く考えないようにしています。 
ただ、地域産業活性化の面では可能性があって、SNSの人脈ネットワークを生業に繋げる一つの試みとして地域通貨ポイントがあります。 「ひょこむ」では「ひょこむポイント(地域通貨)」「ひょこむモール(ショッピングモールシステム)」を今後運用していきます。 これらによってうまく地域通貨と地域の商品やサービスが流通して、地域が元気になる仕組みを考えていきたい。」

小林:     「Open-Gorottoで簡単にサイト構築ができるフレームワークを開発中。 実装後地元に配り、導入セミナーなどを開いて地元の業者さんにも使って欲しい。」

会場:     「SNS基盤としての今後の方向性や、データポータビリティ、OpenSocialなどの動きについて考えていることはあるか。」

手嶋:     「欧米のソーシャル系API関連については、まだ出来上がってない印象を持っています。 OpenPNEとしては普及したオープンスタンダードに関しては対応しようというスタンス。
 基盤としての方向性に関しては、今後あらゆる組織にSNSが使われるようになります。 日本のSNSは「<誰>に見せる」より「<誰>に見せない」ことを重視しているので、そこは独自の進化を遂げると考えられます。
 また、SNSの単位がどんどん小さくなっていったとき、最後に残るのは「一人」。 9月を目処に「おひとりさまSNS」を本気で開発しています。」

和崎:     「ユーザーに対するアクセスコントロールと強固なセキュリティが方向性としてあるのは確か。サイトポリシーに沿って、スタンダードな規格については前向きに導入を検討していこうと思っています。」

小林:     「OpenSocialもOpenIDに関してはまだ様子見。 それよりもまず地元の繋がりを大切にしたいと思います。 それから、手嶋さんが仰った小さなSNSに関して、「家庭内SNS」について考えています。 デジタルデータを未来に遺す場所として使われるようになっていけば良いですね。」


> OpenSocial(英語) : http://code.google.com/apis/opensocial/
> OpenID(英語) : http://openid.net/
> Social Graph(英語) : http://bradfitz.com/social-graph-problem/


記事・文 うめ + ハマっち!プレス編集部


March 5, 2008 - 管理人

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