第2回地域SNS全国フォーラムレポート

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MS-1 API公開時代の地域SNS ~Google・OpenSocialのインパクト

 二日間にわたるシンポジウムの幕開けは、地域SNSの関係者たちにとって目下の最大の関心事ともいうべき「オープンソーシャルAPI」をめぐる議論から始まった。
 SNSが米国で産声を上げてから十年余、今や大手のSNSに以前ほどの勢いが見られない一方、FacebookやGoogleなどを中心に、仕様をオープンにし、APIを公開するという方向が今や規定路線となりつつある。 日本での「SNS元年」からも既に4年、各地で雨後の筍の如く台頭し始めた地域SNSにとって、はたしてこのオープンソーシャルの潮流はどのような意味を持つのか。


第2回地域SNS全国フォーラム in 横浜 2008.2.28~29 開催

==== セッション基本情報 ================================

日時:2月28日(木) 10時30分~12時30分(120分間)
会場:パシフィコ横浜 会議センター5階小ホール

コーディネーター:
 国際大学GLOCOM 研究員
 庄司 昌彦 氏

パネリスト:
 (株)Beat Communication 代表取締役 村井 亮 氏
 アルカーナ(株) 代表取締役 原田 和英 氏
 (有)カンダニュースネットワーク 代表取締役 神田 敏晶 氏
 作家、フリーライター 高橋 暁子 氏
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■SNSの現状~連携

 議論はまず、ビートコミュニケーションの村井・高橋による、SNSのこれまでの歴史および現状についての簡単な解説からスタート。
 この3月にはのべ約4200万人ものユーザー人口を抱えるまでに膨れ上がった日本国内のSNSが、すでに目的別(大別すればパーソナルSNS、ビジネスSNS、地域SNS)にかなりの機能分化や進化を遂げているのと並行して、技術面では各SNS共通のAPIやオープンID、データポータビリティなど、それぞれの間の連携を支える基盤も整備されつつことを指摘したうえで、「具体的な連携についてはビジネスも絡むために予測しにくいが、既にいろいろなことができる環境は整っている」と、ひとまず結んだ。


> Beat Communication http://www.beat.co.jp/

■地域コミュニティとSNS

 これを受けて司会の庄司からは、いわゆる地域SNSだけでも全国に336か所、のべ約65万人が参加している現状においては、もはやどのSNSもそれ自体のみで完結せず、連携ないしは外部からのサービスの取り込みがごく普通に行われるようになってきたとの指摘が。
 一方で、SNS関連の執筆記事を多く手がけている高橋からは、自身が取材した後にイベント運営の手伝いなどで「参画」するようになっていった「吉祥寺フリークス」での例を引き合いに「SNSは単に技術として地域に導入すれば上手く行くものではない。 盛り上がりの度合は、その土地の地域コミュニティの強さや運営のやり方によっても左右される」という意見が示された。

> 国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター 地域SNS研究会 http://www.glocom.ac.jp/project/chiiki-sns/

> mixi関連の本を多数出版 高橋暁子's Website http://akiakatsuki.com/




 
■海外のネットを通じたコミュニティ

 「もともとSNSが好きで純粋なユーザーとして入ってきたのが、いつしか事業としてブログやSNSを使った地域活性化に関わるようになってしまった」と笑うアルカーナの原田からは、海外(主にアメリカ)における地域SNSの実例についての報告があった。

 アメリカでは地域内の住民たちが互いにお店のレビューやフリーマーケットの情報などを交換する地域SNSが隆盛を極めており、最大手の地域クチコミサイト「Yelp!」に至ってはユーザーが1000万人にのぼるのではないかとのこと。
 一方で、地図上にユーザーの家の場所が記載されるといった一見セキュリティ上危ないのではないかというようなスタイルのサービスもあるなど、彼我における地域SNSおよびそのユーザーたちの感覚の違いを感じさせるケースも紹介していた。



■米大統領選をも動かすSNS

 「僕自身もあくまでユーザーの立場です」と切り出したビデオジャーナリストの神田も、都内・渋谷周辺で毎週行っていたSNSユーザー会(シブヤ会)で提案したのがきっかけで、とうとう同地にバーを開店して自分が店長になってしまったという意表をつく逸話を手始めに、目下世界中のメディアを賑わすアメリカ大統領予備選挙におけるクリントン・オバマ両陣営のSNS活用度の差(マイスペースなどの大手4つを使うのみのクリントンに対し、オバマはマイノリティ系のSNSも含めて何と16を活用)がこれまでの予備選の展開にも繋がっているのではないかとの、これまたユニークな指摘も。
 これからはCGMならぬCGP(Consumer Generated President)が登場する時代ではないかと冗談交じりに、しかしまんざらでもないとの表情で語っていた。

> 世界で一番小さなデジタル放送局グループ KandaNewsNetworks http://kandaknn.googlepages.com/


■SNSの新たに生じる弊害

 こうした全体的にアグレッシブなトーンに満ちていた各パネリストからの報告に対して、会場からの質問には、日常的にSNSを運営していくうえで直面する問題点などについて、慎重な姿勢から問い掛けるものが目立った。

 「ユーザー同士のコンフリクトが生じた場合の対処は?」との質問に対して、神田は「日本のネット社会は匿名文化の傾向が強いぶん、コンフリクトが生じやすい。この点、アメリカのような実名で堂々と、それこそ履歴書をウェブ上で流したりするSNSのようなわけにはいかないが、それでも地域SNSの場合はやがてアメリカのような“密着性”の高いものが多くなってくるのではないか」と回答。
 また、村井からは「当初『社内SNSは荒れるのでは?』との懸念を持つ人が多かったが、導入した企業では逆に『2ちゃんねる』の荒らしが減るなどの効果があった(笑)。 SNSのよさはユーザー個々のバックグラウンドがわかることでコンフリクトが起きにくいという点にある」という見方も示された。

 最後に司会の庄司は、「日本のSNSは少し規模が大きくなりすぎたせいか『怖い場所』と認識されるようになったのではないか」と、SNSの普及が進んだことによって新たに生じるようになった“弊害”についても言及。

 各パネリストたちや会場の参加者たちからも、ウィルス感染などの技術的な問題から、サステナビリティ(持続可能性)、さらには、SNS上でのコミュニケーションに依存しすぎるあまりに「リアル」での交流がかえって希薄化することへの懸念……等々、様々な論点が提示された。
 もとより、限られた時間内では議論しつくせないものばかりだったが、この後に続く2日間の各セッションにおける論点を、冒頭において一通り明確に提示しえた、全体的によくまとまったセッションだったと言えるだろう。


記事・文 岩本 太郎 + ハマっち!プレス編集部

March 4, 2008 - 管理人

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